乱数調整で遊ぼう解答

Pokémon RNG Advent Calendar 2017の9日目の記事です。
他の記事も面白いので読んでみましょう。そして参加しましょう。


先週@Blastoise_Xさんによりある問いが出されました。
乱数調整で遊ぼう - ろいしんぶろぐ

というわけで3時間で解いてみたのでその解答・解説です。
以下、ネタバレ注意。
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XY・ORAS固定乱数仕組み

6世代でも固定シンボル乱数に成功しました。


というわけで仕組みとか。
検証中の部分が多いので、常に最新の情報に注意してください。


●仕組み

・乱数列
個体決定に使用する乱数列は5世代まででも使用していたMT。
起動する度に初期シード32bitを決定し乱数列を生成する。
フィールド上ではおおよそ60消費/秒で進み、ステータス画面等でも同様に進む。
スリープにすればさすがに止まりそう。(精度よく止められる気はしないので未確認)
乱数値は剰余ではなく5世代同様、商を用いる形式となっている。
(サンムーンでは剰余を使用)
5世代参考→http://blog.livedoor.jp/x_x_saki_x_x/archives/53962575.html

・初期シード
本体とセーブデータに依存する値にミリ秒を足した値のよう。
セーブし直さずに同じ本体で2回起動すれば、初期シードの差はおおよそ起動時間ミリ秒の差になる。
そのため同じセーブデータを使用すれば、サンムーンと異なり初期シードの範囲を絞り込むことが可能。(ソフトリセットでもOK)
初期シードはタイトル画面でのAボタンを契機として決定されると思われる。
(XYで待機時間を変更して確認、ORASは正確には未検証)
ちなみに本体の時間を変えても関係なく初期シードが変わったので、変えるだけ無駄です。
(本体初期化での挙動は未確認)

・個体決定方法
基本的にサンムーンと同じと考えられる。
3V確定の固定シンボルの場合、
 EC→PID→V箇所→残り個体値→性格
という順であった。
(複数特性ある場合等諸々未確認)


●乱数調整方法検討

現時点で乱数列の確認方法は出現個体の確認しか見つかっていない。
また、出現個体の消費数も毎度1/60秒を合わせられる訳ではないので、多少の幅が出てくる。
そして、野性ポケモンを出現させてわざわざ個体値を完全に特定したとしても、情報量的に32bit全探索の場合は初期シードを完全に特定できるとは限らず、基本的に2匹以上の個体値特定を行うこととなる。
そのため、毎度32bitの初期シードから全探索を行うのは相応の労力が必要となる。
そこで、本体とセーブデータを固定した場合の性質を利用する。

一度起動時刻をメモし、野生ポケモンの個体から初期シードを特定する。
すると、同じ本体とセーブデータを使用する限り起動時刻からおおよその初期シードの値を推定することができる。
その後、捕獲の必要のある初期シードの確認有無で2通りの方法が考えられるので、それぞれのメリットデメリットを挙げてみる。

1.初期シード確認を行わない場合
・メリット
事前に待機時間を計算することになるので、待機時間の管理が楽。
毎度ポケモンを捕獲する必要がない。
・デメリット
試行回数を減らすには起動時刻のミリ秒単位の時間の管理と相応の精度が必要。
(1/60秒の精度が出せたとしても初期シード候補は16-17程度になる)

2.初期シード確認を行う場合
・メリット
待機時間の管理さえできれば調整が比較的容易。
・デメリット
毎度ポケモンを捕獲して初期シードを特定する必要がある。
乱数消費を止めないと目標個体検索中も乱数消費が進むので、待機時間の管理が難しい。

どちらも試してみたが、1.は初期シードを安定しなかったので2.の方で調整することとした。


●やってみた

というわけで、以下実際に固定シンボル乱数を行った手順。
完了までセーブを行わず、同じ本体で実施。

0.準備
以下の作業を行いやすい場所でセーブする。
起動時刻をメモして起動し直し、野性ポケモン2匹を捕獲する。
捕獲したポケモンの個体値から初期シードを32bit全探索し、初期シードを特定する。

以下ループ。

1.初期シード特定
起動時刻をメモして起動し、野性ポケモンを捕獲する。
捕獲したポケモンの個体値から初期シードを検索し、初期シードを特定する。
(高Lvのポケモンであれば1匹でもそのままのステータスだけで特定が可能)

2.個体検索
特定した初期シードから目的の個体を検索する。
検索結果と経過時間から残りの待機時間を計算する。

3.乱数調整
計算した待機時間待機し、ポケモンを出現させる。


●その他

操作統一前は消費数が安定しなかったので、何かしらの操作をすると一時的に消費数が変わるのかもしれない。(未検証)

ループ時の初期シード特定だが、野生ポケモンのLvが低い場合個体値測定にPSSの対戦をするという方法もある。
その場合、通信を切断して終了すると消費数が安定しなかったので、面倒でも降参して終わらせることを推奨する。
また、Lvが低すぎなければ2匹捕まえるという手段もある。
その場合、予め2回ともタイミングを決めておくと初期シード候補の絞り込みがやりやすいかと。
ちなみにタイミングを合わせる場合、水上であまいかおりを使うとよい。
(草むらで使うと群れが出てくるクソ仕様乱数調整しかしないので努力値振りは知りません!


スリープ中に乱数消費が止まるのであれば、起動から一定時間後にスリープして検索諸々を行えば待機時間管理自体はやりやすそう。
(どの程度精度が安定するかは知らない)
サンムーンのQR針的な存在があればいいんだけどね。
 

サンムーン固定乱数仕組み

ポケモンサンムーンでも固定乱数ができそうだと大晦日に聞いてしまったので、
検証で正月どころか3連休まで潰しました。


事の発端はこちら。
http://www.smogon.com/forums/threads/sfmt-rng-in-sun-moon.3591281/


以下、検証結果とか。
検証中の部分が多いので、常に最新の情報に注意してください。


●乱数調整可能性

上記記事には、乱数調整を可能とするための3つの重要な要素のうち、2つが記述されている。
1つ目は、使用する乱数列について。
SFMTを用いて64bitの乱数値を生成しているとのこと。
TinyMTと同様、ライセンスにSFMTの表記あり)

2つ目は、乱数値の調整可能性について。
SFMTの乱数列生成に使われる初期シードが2^32通り。
特定条件(NPC等による消費数抑制)を前提にすれば高々2^32×n(2-3桁程度)通りの総当たりで済む(最重要)ので、
スパコンを使わずとも現実的な時間でSFMTの状態の特定が可能である。
また、総当たりの検索対象としてQRコード画面の針(乱数値%17で決定、他の乱数消費がなし)が使用でき、任意に乱数列を進めることができる。

以上2つの情報を用いて、残り1つの要素である乱数値の使用方法の調査を行った。
以下、調査結果。


●固定シンボル(カプ系)の個体決定方法

V箇所3箇所選択(%6、消費数3~)
 3箇所決定までに重複があった場合、重複がなくなるまで次の乱数値を使用。
 ↓
残り3箇所の個体値決定(%32、消費数3)
 乱数値3つ使用。
 ↓
性格決定(%25、消費数1)
 いつも通り。

他の処理については未確認。
シンクロは少なくとも前後10個以内での最下位bit判定ではなさそう。


●どう調整するか

初期シードの調整方法は現段階では不明。(というか見当もつかない)
そのため、基本的な流れは
 起動→初期シード・乱数列特定→調整→出現
ということになる。

1.起動
初期シード決定タイミングは不明。
ただし、不定数の乱数消費は続きから選択後に行われるようで、
続きから選択後一定時間内にQRスキャンの画面を開けば検索する消費数を限定することができる。
ソフトリセットでも問題はなかった。
(追記)
smogonで初期シードの決定方法が公開されましたが、
あまり初期シード調整は現実的ではなさそうです。

2.初期シード・乱数列特定
QRの針データを元に初期シード・消費数総当たりを行う。
フィールド上で主人公のまばたき以外での消費がない場合、
最速QRスキャン起動でおおよそ430-470程度の消費数となった。
それ以外での消費がある場合はその限りではない。(場所によっては700を超えたりも)

3.調整
基本的にフィールド上での消費に任せるか、QR針での消費かの2択となる。
(それ以外のいい方法がある可能性はある)
フィールド上での消費に任せる場合でも、目標箇所との差分を確かめるために
目標箇所が近づいた時点で一度QR針での消費数確認を行うことをおすすめする。
消費数が多い場合は、一度フィールド上での消費の多い場所に移動して消費するのもあり。

4.出現
個体決定直前でも基本的にまばたき消費等が行われているので、
個体決定のタイミングも調整する必要がある。
基本的におおよそ1/30秒単位での調整を行えればよい。
(少なくとも主人公のまばたきのみで消費が行われる場合はそのはず)


●その他重要情報

1.まばたきについて
主人公のまばたきでの消費数は常に30/sというわけではなく、
まばたきを行うとしばらくはまばたきによる乱数消費が行われなくなるよう。
まばたきは乱数値%128が0の時に行われ、
次の乱数値%3が0のとき2回まばたき、1-2の時1回まばたきを行う。多分。
乱数消費が停止する時間は前者と後者とで異なり、
前者はおよそ41/30秒、後者はおよそ34/30秒となっている。(多少のずれがあるかも→ずれてました)
調整する際に考慮に入れる必要があるので注意。
(追記)
smogonでまばたき処理の詳細が公開されました。
%128と%3の計算の間にインターバルがあるそうです。

2.検索時間について
最重要と書いた初期シードの特定可能性だが、普通に検索すると
PCスペックによっては検索に1時間以上かかることがざらにある。
そこで有効な手段の1つが、予めソート済みの検索結果のデータベースを作成すること。
こことかで使用)
最速QRスキャン起動の430-470あたりの針データベースを作成すれば、
データの作り方にもよるが1TB程度の空き容量とデータベース作成時間を犠牲に
高速に検索できる環境を手に入れることができる。
また、QRスキャン起動を主人公のまばたき直後に限定すれば、
データベース容量を(例によってデータの作り方にもよるが)数十GB単位に抑えることができる。
ただし、主人公のまばたきを見るためにプレイヤーがまばたきできなくなるので注意。
(追記)
続きから選択画面で表示される針が使える模様。
http://blastoise-x.hatenablog.com/entry/SM-RNG-abuse


smogonの情報に少し情報足しただけな感じはある。
とりあえず現段階で検証済なのはここまで。
似たような決定方法であればUBとか他の乱数にも応用できるはず。


~Special Thanks~
一緒に検証を行ってくれた方々に多大なる感謝を。
・ろいしんさん @Blastoise_X
・mizdraさん @mizdra
・おだんさん @poke_odan
・oupoさん @_oupo_
・くあんさん @quan_dra

アンノーンでバトルステージを170連勝する(動画)

Pokémon RNG Advent Calendar 2016の22日目の記事です。
他の記事も面白いので読んでみましょう。そして参加しましょう。


以前動画を撮ったまま放置してたので、せっかくなので動画化してみた。
ただの蔵出し情報その2。




バトルステージ乱数の概要はこちら
http://blog.livedoor.jp/x_x_saki_x_x/archives/54842259.html

フリーズバグについてはこちら
http://blog.livedoor.jp/x_x_saki_x_x/archives/54897796.html

以下、動画中で使ったデータとか。
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SM孵化乱数列を計算する

SM持ってないけどSM孵化検証やってます。
準備に手間はかかりますが乱数調整可能です。

今回はその乱数列計算に関する内容になります。
某ツールを使えば出来るとか言わない!

WEB上で計算する奴作ってみた。
http://blog.livedoor.jp/x_x_saki_x_x/RNG/SMBreeding.html


●事前知識

SM孵化仕組み検証
http://blastoise-x.hatenablog.com/entry/SM-breed

SM孵化の乱数列生成アルゴリズムについて
http://odanpoyo.blogspot.jp/2016/12/sm.html


●使用されている乱数

「SM孵化の乱数列生成アルゴリズムについて」にもある通り、
今回のSM孵化には「TinyMT」なる乱数列が使用されている。
この乱数列は内部状態としてstatus[0-3]の128bitを持ち、それを調律したものが出力される。
BWの64bit検索でも通常PCでは全探索は事実上不可能であったので、当然全探索という力技はできない。

また、調律の処理が曲者で、非線形となる処理をしているため逆算するのが難しくなっている。
TinyMTには調律を線形とする設定もあるが、その場合の逆算についてはこちら。
http://d.hatena.ne.jp/oupo/20161210/1481361175

 ↓非線形になる原因箇所
#if defined(LINEARITY_CHECK)
    t1 = random->status[0]
	^ (random->status[2] >> TINYMT32_SH8);
#else
    t1 = random->status[0]
	+ (random->status[2] >> TINYMT32_SH8);
#endif

今回はその非線形を回避すべく、最下位bitのみに注目してみることにする。


●何故最下位bitなのか

TinyMTでは基本的にビット演算で処理を行っているが、
その中に加算が交じることで非線形となってしまっていた。
その原因は繰り上がり処理。
繰り上がりを考慮しなければ加算はただのxorであるので、
繰り上がりの影響を受けない最下位bitだけを見れば線形は保たれていることになる。


●計算してみる

status[]から出力される最下位bitを計算してみると、
出力はstatus[3]の最下位bitと同じであることが分かる。

この出力の最下位bit列 $y$ から初期status列 $x$ を求める行列 $A^{-1}$ があればそれを求めたい。
$y=Ax \Leftrightarrow x=A^{-1}y$

まず、内部状態の更新処理を行列で扱えるよう変換する。
この際、status[0]の最上位bitを除外し、127×127となるようにする。
(status[0]の最上位bitは更新処理時に欠落する情報であり、また出力最下位bitから復元できないので、あると行列が正則にならない。)
その行列の0乗から126乗を求め、status[3]の最下位bit計算に使用する行を取りだして並べると $A$ が求まる。
この $A$ を計算した結果正則であったので、逆行列 $A^{-1}$ が求まった。


というわけで、無事連続する127個の最下位bitから元のstatusを計算することができました。
個体値列からの検索もやりたいけど課題が多いのでどうなることやら。

WEB上で計算する奴も作ったので是非乱数調整しましょう!
現時点で乱数列から出力計算してくれるツール公開されてないと思うけど。

プロフィール
さき

ポケモンの乱数調整とかツールとか。サンムーン乱数調整できました。
Twitter→@water_blow

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